カクレンジャー31・32話感想
31話
「見たか!! 新将軍」
脚本 杉村升
監督 小笠原猛
白面郎に追い詰められた鶴姫を救ったのは三太夫で、川に落ちた他の4人にも手を回していてブンが助けてくれた。
三太夫と白面郎が何を考えてるのか、視聴者目線では大体読めるのだが鶴姫からすれば訳が分からず困惑する状況です。
そこへジュニアが現れて三太夫と白面郎が結託して世界を我が物としようとしてるなんて言うものだから鶴姫の疑惑は益々強くなる。
三太夫は本当のことを話すことも出来ないからジュニアを黙らせようと戦うしかない、と。
うわあさらにややこしいことになってる。
三太夫の最初で最後の戦闘シーン。
様々な技を使うもののジュニアには適わず、剣を奪われて刺されてしまうというかなりエグイ最期を迎えることになってしまった。
三太夫が倒れた事で怒りに震えるカクレンジャーはジュニアとの決戦に臨む。
久しぶりのカクレンジャーボールも通用せずやはりジュニアは強敵だという事を描いているのが良いですね。
そこへ現れたのはツバサマルから託された新たな武器・雷鳴剣ヒカリマル。
カクレマルとヒカリマルによるニンジャレッドの二刀流アクションがカッコいいです。
そして巨大戦ではユガミ博士の装備で強化されたジュニアを倒すために超忍獣の本当の力が目覚める。
五神合体・隠大将軍。三神将の最後の1体がついに登場。
スマートで各超忍獣の生物の意匠を残したデザインがカッコいいです。
さらにツバサマルとの合体まで披露しスーパー隠大将軍の姿も。
空を飛んで回転蹴りをお見舞いするという無敵将軍とは差別化されたアクションが見られるのも良いです。
そして必殺技・鉄拳フライングフィニッシュでジュニアにトドメ。
拳を使った必殺技も無敵将軍とは違う印象を残すものでした。
ヒカリマルに隠大将軍と新たな力の前に敗れてついに退場となった貴公子ジュニア。
散り際の演出が凝っているのはここまで物語を盛り上げた好敵手への手向けのように思えました。
続けてジュニアより少し先に登場したユガミ博士も今回を持って退場。
封印の扉の破片に押しつぶされて死んでしまうという哀れな最期でした。
彼のおかげでカクレンジャーを限界まで追い詰めた事もあったのにこんなあっさりした終わり方は可哀そうではないかなと思ったり。
死の間際に三太夫は白面郎のことを聞かれてあくまで殿は裏切り者なんだと答える。
この時三太夫の顔に影がかかっているのが真実を隠したまま逝こうとしてる演出なのかなと思いました。
ただの偶然かもしれませんけど。
遠くで見つめる白面郎に手を伸ばし自分の務めを果たして逝く三太夫。
秘密を抱えて主の命令に殉じる。こうする事しか出来なかったのは悲しいけど忍者としては立派でした。
この回をもって三太夫は退場。
大人になってから見ると坂本さんの演技が味があって好きだなあと思うようになったので、ここで退場するのが本当に残念です。
石にされた人々は元に戻り救われた人がいる一方で、三太夫は帰らぬ人となり敵の方でもジュニアとユガミ博士が死んでもう戻ってこない。
敵も味方も死を描くという厳しい展開。杉村さんジュウレンジャーでも救われる命と消えていく命の両方を描いてたので、カクレンジャーのこの展開も杉村さんの哲学に基づくのかなあと考えてみたり。
封印の扉を破壊したのに大魔王は復活し現世へ姿を現す。
改めて世界を妖怪のものにすると宣言する姿は柴田秀勝さんの声もあってもの凄く強そうに見えます。
大魔王は散っていたジュニアについてはどうあっても後継者にするつもりだったのにと零す。
ジュニアは父の言葉の裏にある思いを知る事もなく散ってしまったわけだ。
そして鶴姫は白面郎が本当に裏切ったとは思わないと天に昇った三太夫に心の中で語りかけ自分の父を信じている。
ジュニアと鶴姫の父親を巡るドラマが対比になってるのがお見事だなあと。
新しい武器やロボの登場だけでも盛り上がるのに濃いドラマまで用意してるのが素晴らしい。
25話から第2部と銘打っていましたが、大魔王の復活と三太夫やジュニアの退場となった今回が本当の物語の区切りのようにも思えました。
32話
「ナメんな顔泥棒」
脚本 藤井邦夫
監督 渡辺勝也
今回の妖怪ヌッペホフはサブタイトルにあるとおり顔を盗む妖怪。
夜な夜な人の顔を舐め取って盗むというのが怖いし、人間態にいたっては盗んだ顔のコレクションを眺める様子がとにかく気持ち悪い。
でもジャック・オー・ランタンのような顔の下に本当の顔があるというデザインは面白いし、アイスキャンディーを片手に持ってるシーンは何となく可愛くも思えたので嫌いなキャラではないです。
パトロールをするカクレンジャー。
闇の中の忍び装束はやっぱりカッコいいですね。
ヌッペホフに被害を受ける人が続発する中、カクレンジャーが出会った少女・ハルカはあえて顔を盗ませてのっぺらぼうになることで自分で自由に顔を変えられるととんでもないことを言い出す。
それを説明するシーンのカクレンジャーとの掛け合いがテンポよくて面白かったです。
サイゾウがハルカの面倒を見ることになり家に帰そうとするがヌッペホフに襲われ2人とも顔を舐められてしまう。
顔がなくなって落ちこむサイゾウと望みどおりの展開になって大はしゃぎのハルカのテンションの落差が激しい。
さらに2人とも漫画のキャラになりきった謎のイメージシーンも。
大変な状況になってるはずなのにビジュアルで笑わせにくるのがずるい。
だが突然の雨でハルカが絵の具で描いた顔はあっさり崩れてしまい人々に笑われることになる。
自分のしたことの愚かさを思い知ったハルカ。最後のサイゾウのナレーションでも言ったとおり素敵な顔は自分の心次第で、安易な考えで本来の自分の顔を一度捨てたハルカには相応の罰だったんだろうなと思います。
そして自分の顔がない状態でも人々を苦しめる妖怪と戦うという本分は忘れないサイゾウ。
顔がなくても戦うサイゾウはカッコ良いし、心次第だという締めのナレーションを裏付けてるようでよかったです。
のっぺらぼうになったことを逆手に取り写し取った偽の顔でヌッペホフを罠にはめるという意趣返し。
サブタイトルの「ナメんな」は、顔を舐め取るなという意味とカクレンジャーを甘く見るなという2重の意味だったんだろうなと思います。
挿入歌「忍者でいこう! デデンのデン」に乗せて各メンバーの活躍がたっぷり見れたアクションシーンに、さらにロボ戦でも挿入歌「出たぞ! 隠大将軍!!」がかかって隠大将軍の活躍が見られました。
新規の挿入歌2つ続けてとは豪華だな。やっぱり挿入歌あるとバトルも盛り上がります。
今回の脚本を担当した藤井さんは曽田さんと共に戦隊シリーズを支えたベテラン。
前作ダイレンジャーではダイゴとクジャクの大恋愛を数回に渡って描いたのが印象的でした。
しかしカクレンジャーへの参加はこれ1回きりで、且つ戦隊シリーズ最後の脚本だったのが寂しい。
この回ですが、本来は23話として放送される予定だったそうな。
当時の雑誌が情報ソースらしいのですが真偽は不明。
しかし話のノリというか演出というか、カクレンジャーの言動なんかも第1部の雰囲気っぽいので嘘とも言い切れないように思えました。
締めのナレーションも講釈師が言いそうな内容だったし本来は第1部の話だったと考えれば、前回の濃いエピソードからのギャップにも納得できそうです。
顔がないという人々の姿が今見ると怖い話だったんですけど、放送当時は顔がなくても普通に喋ったりはできるんだなあと不思議に思ったくらいで特に怖いと感じてなかったなと思い出す。
目も口もないのに一応普通にコミュニケーションは取れてるのが不思議だった子供時代の思い出でした。
もう一つ思い出話。
カクレンジャー放送当時に発売された玩具で唯一親に買ってもらえたのが31話から登場した隠大将軍の玩具でした。
放送も終盤となるクリスマスの夜に親がこっそり枕元に置いてくれて、翌朝箱を開けてDX隠大将軍のパッケージを見た時は本当に嬉しかったです。
そんな思い出もあるので隠大将軍は戦隊シリーズでも特に好きなロボなんですよね。
以上個人的な余談でした。
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コメント
隠大将軍初合体回でスーパー隠大将軍と
鉄拳フライングフィニッシュも出てくるとは
いくら既にツバサマルが登場してるとはいえ
もう少し引っ張っても良かったのではと少し思いました。
終盤に出てくる妹、弟との話でもわかりますが
大魔王は仲間に対しても冷徹そうに見えて実は情に厚いんですよね
4年後のギンガマンで柴田さんが演じたゼイハブも
そんな一面を持ってましたね。
曽田さんも2年後のカーレンジャーを最後に
戦隊には参加しなくなりましたね
投稿: | 2016年9月 7日 (水) 05時27分
続きですが90年代は古くから携わってきた裏方の入れ替えが
色々ありましたし藤井さんもその1人だったってことですかね~
投稿: kivaxtuto | 2016年9月 7日 (水) 12時37分
コメント返信:kivaxtutoさん
ゴッドフィニッシュとフライングフィニッシュ、やってることほぼ同じ技じゃないかって子供ながらに思ってました。
スーパー隠大将軍まで続けて見せるのはちょっと詰め込みすぎだったかもしれませんね。
実は身内を大事に思ってるけどあえて冷徹に振舞ってる人間くさい部分もあるのが大魔王の魅力でもありますね。
妖怪が人間の映し鏡となる存在と解釈すればそういう描写も納得できると思います。
ファイブマン辺りまではシリーズの存続が危ぶまれる崖っぷちだったそうですからスタッフの入れ替えも自然の流れだったんでしょうね。
新作がないのは寂しいですけど、曽田さんにも藤井さんにも素敵な話をたくさん書いていただいてただただ感謝です。
投稿: んがよぺ | 2016年9月 7日 (水) 22時27分